大雪が降った日に一輪だけ咲く真っ白な花。“スノードロップ”
その花を見つけた人には必ず幸せが舞い降りる…。
寒い冬が訪れたばかりの北のある村に3人はいた。
その村には古くからそんな言い伝えがあった。
三人が訪れたフィジー村は伝説や言い伝え等が数多く残る、小さな村だ。
村の中でも一番有名な言い伝えがそのスノードロップの話で、村の誰もが
幼い頃から聞かされたらしい。
「僕も見てみたいな〜。スノードロップってお花」
窓の外を眺めながら十六夜は「ねぇ。カイ。どっかに咲いてないかな〜?」
と言ってキョロキョロと辺りを見渡していた。
「雪が降ってないから今日は無理じゃないか?
明日雪が降ったら一緒に探そうゼ」
「うん!」
9時になり十六夜が寝ようとベッドに入った瞬間………
突然部屋がなくなり、目の前には、雪と林と一本の道しかなかった。
不思議に思い十六夜は二人に、ここは何処かと尋ねようと、後を見た。
が…なんと同じ部屋にいたはずの二人の姿がないのだ。
「じぇんど〜。かい〜」十六夜は泣きながら必死に二人の名前を呼んだ。
しかし返事はなく、声だけが、薄暗い林の中に虚しく響くだけだった。
それから数十分後……十六夜は道に沿って歩いていた。
「もしかしたら、ジェンドとカイに会えるかも!」
歩いていると開けた場所に出た。
切り株があって、白い小さなものが動いている。
「あれ何だろう?」
十六夜は切り株に近付き、動いているものを見た。
それは真っ白い服を着た小人だった。
とりあえず話し掛ける事に…。
「小人さん。小人さん」
「何だい?十六夜君。僕は今すごくお腹が空いているんだけど、
何か食べ物を持ってないかい?」
「え〜っと…じゃあこの飴玉をあげるね♪」
「ありがとう!」
すると小人は、これはほんのお礼だよと言って輝きそして消えた。
小人がいたところには雪の結晶が集まってできたような
真っ白な花が一輪だけ咲いていた。
それは…もしかすると
雪の天使がくれた贈り物